2022年女性のつどい報告 (武蔵小杉教会)

梅雨入りしてまもなく、晴れ間が出ているのに、突然雨が降ったりする不安定なお天気の中、今年も女性のつどいが開催された。今年のテーマは「信心継承」。会場は武蔵小杉教会の2階ホール。6月12日14時~16時半


山田初子信徒部次長の開会宣言、続いて村田光治連合会副会長(子安教会長)のご祈念を頂き、山口和賀雄信徒部長のご挨拶があった。

「たくさんの方々のご参加を頂き、お礼を申し上げる。日本社会の少子高齢化の波は、金光教にも顕著な形で押し寄せているように感じる。今回は信心をされている、つまり継承されている若い方のお話を伺いたいと願って、企画した。

今日はご本部では、教団独立記念祭が奉行されている。なかなか日程が合わなくて、こういう日に女性のつどいを開催することになったことをお詫び申し上げたいが、金光新聞には“金光教独立に込められた先覚先師のみ思いとお働きにお礼を申し上げると共に、先人たちの道を思う情念を今日に頂き直し、ここからのお道のいっそうの発展を祈願させて頂く祭典です”とあった。

今日は、若いお三方のお話を聴かせて頂いて、お道の一層の発展を考え、信心継承の参考にして頂ければ、有難いと思う」。


◆続いて、司会者から発表者の1番手・井上 黎さんの紹介があった。
横浜西教会在籍で、國學院大學大学院に在学中、中国文学を専攻しておられる、23歳。

「母からの信心を受け継いでいて、0歳の時から、教会にお参りしている。父は信者ではないし、教会に来ることは少ないが、金光教についてよく理解してくれている。横浜西教会では先生ご一家が家族のように接してくださって有難い。

幼児の間は、自分の家庭しか知らないので、教会にお参りするのは普通だと思っていたが、小学生になって、金光教を信仰している異質さを感じた。例えば、「昨日の日曜日、何していた?」と訊かれて「お祭りに行ったよ」「お祭り?いいね!」と言われて、金光教の神様に対するお祭りなんだけど、、、、と思った。

高3の時に、誘われて、本部で行われるソアリングキャンプに参加した。奥城で御神号奉唱というのを経験したが、参加した20名が「生神金光大神様」と願いを込めながら大声で唱える。全国には本気で信仰している仲間がこんなに居るんだと思って、子供の頃感じた違和感が解消された。

大学生になって、フォーゲル活動のリーダーになり、これからは勉強もアルバイトも信仰も頑張るぞと思ったのだが、気合を入れ過ぎたのか、1年生の前期は、不安や緊張を感じることが多くなり、学校に通えなくなってしまった。お届すると『何事も自分でしようとするから、辛くなる。神様にお任せして、させて頂くという気持ちになりなさい』と教えて頂いた。その教えを実践すると、少しずつ体調が戻ってきて、1年の後期には元気に通えるようになった。

3年になるころ、コロナ禍に陥り、授業はリモートが主体になり、友人同士励まし合うことが出来ず、図書館も行きづらくなった。一年前期で取れていない単位も取らなくてはならない、そんな中で卒論を仕上げられるだろうか、とまた不安になったが、不安は神様にあずけて、卒論を楽しめますようにとお願いした。ぎりぎりで出来上がった卒論を、教授に届ける時にも、少しハラハラすることがあったが、結果はゼミの代表者に選ばれて、発表会に出て、最優秀賞を頂き、卒業式で表彰して頂いた。大学院にも合格させて頂けた。不安や緊張は神様にあずけることが大事だと思う。もちろん今日の発表のこともお願いしている。

私が信心を継承したと思えたのは、大学生の時に難儀を救っていただいてからである。神様に一番心を向けられたから、本心から心を向けられたからだ。しかし、信心の継承には難儀が必要というわけではない。神様に心を向けたくなる時に、いつでも向けることができる土壌をもっていることが大切なのではないだろうか。その土壌は、信心で培われた考え方、感じ方を家族や周囲の人とのコミュニケーションの中で話すことで育つと思う。だからと言って、何でも「神様のおかげ」と言われると、自分を否定されたような思いになることがある。何かいいことがあると、母はいつも「有難かったねえ」と言ってくれた。私を肯定しつつ、神様を押し付けずに、神様のおかげを認識させようとしていたのかなと思う。当り前のことが当り前であると思わず、有難いことと認識すること、いつも心で神様とつながっていることが大切かなと思う。」


◆2番手の藤澤 翔さんは、丸子教会在籍のサラリーマン、32歳。

「母方の祖父母からの信心で、大学生の時に金光教のボランティアグループが主催する、タイの社会問題を学ぶスタディーツアーに参加させて頂いて、勉強になった。日本に居ると、貧しい環境でかわいそうだと思いがちだが、そうではない。つらい環境の中で、懸命に生きていて、今を大事にしている人が多いことに気がついた。

今何が出来るかを考えて実行できるかどうか、ここが大切で、辛い状況の中でも、出来ることを一つひとつやっていき、さらにその力を他者のために使うことで、幸せを感じられるのだと気がついた。また、他者と比較しないこと、世間的な評価や一つの評価軸で測らず、出来たことを褒め、出来なかったことを反省する、そういうシンプルな見方を身につけたいと思った。

祖父からは「嫌いな人と仲良くなりなさい」と言われた。どんな処にも、合わない人はいるものだが、うまくつきあっていくことは大事だということ、逆の性格や考え方の人からこそ、学べるものがあるということ。同じ考え方見方の人同士では、問題解決の方法が限られてくるということを教えられた。

祖母はやさしさと厳しさの使い分けが鋭い人で、心の籠った振る舞いが出来る人だった。そして、母は祖母の在り様を受け継いでいるなあと感じる。誰に対しても分け隔てなく同じ振る舞いが出来る人。苦難に対する捉え方が上手だと思う。苦しみを単に辛いという感情で終わらせず、新たな見方をしたり、成長のきっかけにする前向きな考え方に変えることが出来る人。私は割にネガティブなほうなので、見習いたいと思う。

私には10か月になる男の子が居るが、育児というのは想像以上に大変で、大変さに驚きながら子育てに奮闘している状況。いろいろな人から教え伝えて頂いたことを、子供に伝えたいという思いもあるが、反面、子供自身が経験の中で感じていくであろうことを大切に出来る親でありたいとも思っている。

信心継承について、何をするのがいいのか、なかなか難しい問題だと思うが、言葉で伝えること、文字を読んで勉強するだけでは、伝わることは限られているのではないか。時間をかけて対話を続ける、一緒に居る時間を作るために交流の場を設ける、ということが大事かと思う。

大工さんの仕事は見て覚えるとよく言われるが、信心も見て聞いて肌で感じることが大切、時間はかかるし、失敗もあるけれども、その中から工夫して実践することを繰り返す、時間をかけることこそが、信心の大切なところ、肝心なことを心の底まで落とすことにつながるのだと思う」。


◆続いて武蔵小杉教会の小橋華世さん。ピアノ教師をしている53歳。
3人目の発表者がなかなか決まらず、苦慮していたところ、思いがけずお受け頂いた。

「若い方の発表をという主催者側の願いから、かなり年齢が超過していると思うが、大勢の先輩方が活躍される金光教の中では、まだまだひよっこの部類かと考え直して、させて頂く」というご本人の前置きがあった。

「母方の祖母からの信心で3代目。教会には赤ちゃんの時から出入りしている。父親の転勤で、大阪から那覇に移り、さらに福岡に転居して、神奈川県に来た。

薬屋さんの2階がアパートになっていて、一部屋がお広前、もう一部屋が先生方のお住まいという狭い那覇教会で、教会のご長男と私という、参加者2名で少年少女会を経験した。また当時始められた遺骨収集奉仕活動に参加して貴重な体験をした。

福岡高宮教会では、総勢50名近くの仲間がいるような少年少女会の中で、学校のような横割りの仲間ではなく、縦割りの仲間と一緒に活動した。楽しいばかりではなかったが、得意の音楽を生かした活動が出来、母親がリーダーをしていて、自ら脚本を書いて子供たちに劇を演じさせたりしたが、その中で自分も活躍の場を与えられて、楽しいことも多かった。

主婦としての母しか知らなかったけど、お友達に「華世ちゃんのママってすごいね」と言われて誇らしく思ったが、母の、“書く、喋る、仕切る”という御用のスタイルはこの頃から芽を出していたのだと思う。

神奈川に引っ越してからも、少年少女会活動で鼓笛隊を作り、活動の中で、仲間でありながら、楽器の扱いや演奏の部分では指導者のような形になり、同じメンバーたちに“教える”ということに気を遣った。その時の体験が後にピアノ教師となった時に生きているなあと思う。信心の継承ということでは、少年少女会の果たした役割は大きかったと思っている。

信者として独り立ちしていると言えるには、3つの条件があると思う。一つは教会に参拝してお取次を頂くこと、二つは毎日ご祈念をすること、三つは御用をすることだろうと思っている。

人生には受験、仕事の成功、病気の治癒など、何としても叶えて頂きたいと思う願いがあるが、叶えられることも叶わないこともある。間違いなく言えることは、人生はその後も長く続いていくということ。望み通りに進んでも、予期せぬ試練が来たりする。そこで腐らず投げ出さず、乗り越えて行くことが大事。今は穏やかな時も、さざ波が立っている時も、大きな願い事がある時も、なるべく同じ熱量で今月今日のご祈念をさせて頂きたいと心がけている。26歳になる娘も同じような気持ちで、行き帰りの通勤電車の中で、ご祈念をさせて頂いているようだ。

母は、少年少女会のリーダーとか原稿を書くとか、集会を企画し準備するとか、さまざまな御用をしてきたようだが、それはそれですごいと思うが、私はピアノ教師という仕事を通じて、世の中のお役に立っていきたいし、娘にもそういうことを期待している。

信心継承について、母に連れられて、教会にお参りし、教会の行事や活動に関わることで、自然に信心が身に付いていったのだと思うので、母の後姿を見て育ってきた、というところかと思う。

今回こういう機会を与えて頂き、幼い時のことから今までさまざまな記憶を掘り起こし思い出した。これまで生かされて生きて来たのだということを実感し、改めて有難いという気持ちにならせて頂いた、そのことに感謝申し上げる」。


3人の方々の発表が終り、休憩後、けん玉が特技という井上 黎さんにご披露頂いた。難しい技を見せて頂いて、会場は拍手喝采に包まれた。

その後、44名の参加者のお一人おひとりに発言して頂くことは無理なので、質問、感想など挙手して頂いた。
〇山田朋歩さんから。
「井上 黎くんは、よくお参りされている。リーダーとしても活躍してくれて、小さいお子さんたちともよく遊んでくれている。小橋さんは、あちこちの教会にお参りされて、いろいろな先生にお会いになって、ここまでになられたのかなと思う。継承した側でなくて、継承させる立場として何か心がけたことがあるだろうか、聴かせてほしい」

〇小橋華世さんから。
「私自身はあまり金光教に熱心でなく、母のようにオタクでもないので-----。特に娘に金光教のことで教えたという記憶はなく-----。私たちは姉妹のような感じで、親である母から教えられたというところかも----。

一つ言えることは、祖母、母、孫の関係なので年代は違うし、属すコミュニティも違うのだが、3人とも教会というコミュニティに属していて、同じものを見、聞くことになる。大層なことでなくても、あの方の今日の洋服素敵だったねえというような、共通の話題を持てることになり、それがきっかけになって、信心の話につながっていくということはよくある。また今日の先生の話をどう思う?みたいなこともあって、信心を話のタネにしていて、それを家庭で楽しんでいると思う」

〇内藤公子さんから。
「いいお話を聴かせて頂き、お礼申し上げる。井上有子さんと私は従姉妹になるが、立派になった黎くんを見て、うれしく思う。一人っ子の黎くんが教会のご子弟と仲良くして頂いている様子で、有難いなあと思う。少年少女会の働きが信心継承に役立っていることが理解できたし、年齢の違う子供たちが一緒に活動出来る少年少女会というものを、改めていいなあと思った」

〇井上黎さんの母、有子さんから。
「どんなにいい宗教でも、突然今日から入信します、ということはほぼあり得ない。小さい時から教会に連れて参拝する、話して聞かせる、ということが信心継承につながっていくのかも。ファミリーの力が必要なのだろうかと思う」

〇藤澤翔さんの父、英明さんから。
「私は信者ではないが、金光教の教えはすばらしいと思うので、教会に行く時は、気持ちよく行ってもらっていた。今回、息子が発表をするというので、いつのまに信者だったんだと思ったが、息子は信心を通じて、真摯に人生に向き合っているのだなあと思った」。

〇甲府教会長・牧野真幸先生から。
「遠くから参加して、よかった。いいお話を聴けた。金光教はすばらしいなあと改めてうれしく思った。自由で明るくて強制がなく、無理がない。それと共に反省もさせられた。

私は伝える努力をしてこなかったのではないか。信者さんが孫がお参りしなくて、と言っても、そのうち、信心するようになるからと思っていたが、金光教はすばらしいのだから、何とかして身につけてほしいと、もう少し積極的にかかわればよかった。これから少し頑張りたい」

〇子安教会長・村田光治先生から。
「信心を受け取った子供の立場から言うと、親父は特に何も言わなかった。後継者だと言うプレッシャーをかけられた覚えもない。

言葉で伝えると、案外遠ざかるということがあるかもしれない。行動や態度で示すことが大事なのではないか。伝える立場からは、二人の子供がいるが、伝えるというより伝わる、信心が伝播していくような行動と態度を心掛けていきたい」

〇鶴見教会・桜井君江先生から。
「金光教のこの字も知らない家から、教会に嫁入りし、教会の信者さん方にお育て頂いた。若いころの私は自己中心的だったと思うが、今はこのお道と出会えて幸せ。

諸先生方も家族も信者さんも私を許し受け入れて下さったのだと感謝している。鶴見から鎌倉に引っ越して、周りは住宅街、最初は反対されたが、今はご挨拶をしたり、頂き物をしたり差し上げたり、受け入れてもらえているのが、有難い」

〇丸子教会・横山明子先生から。
「若い人のお話を聴けて、元気をもらった。若い人はパワーがありエネルギッシュだと思った。
頭ごなしに信心しなさいと言うのでなく、薬を飲む時には御神米も一緒に頂くというような、無理のない形で伝えていけたらと願っている」。

  さまざまな感想、ご意見を聴かせて頂いた。

 


最後に大塚信徒部次長の挨拶があり、ご祈念を頂き、記念撮影をして、時間通り終了した。

「昨年の女性の集いは、丸子教会の2人の信者さんに、それぞれの信心を語って頂いた。皆さんそれぞれの立場で話して下さったのだが、異口同音に金光教を伝えてくれた親に感謝していると話を結ばれた。が、近頃信心継承が難しいと言われる。

そこで今年は、継承している立場の若い方々のお話を聴かせて頂くことにした。皆さんの参考になるような、合点がゆくようなお話だったろうか。そうに違いないと信じている。

皆様には、各お教会で、役員などを勤めておられる、言わばリーダー格の方々、どうぞお帰りになったあと、周りの方々に印象に残った一言、これはいいと思われた実例、楽しいと思われたエピソード、そういうものを広めて頂きたい、今日この場で、いいお話だったというだけで終わせないように、よろしくお願い申し上げる」。



発表者の方々は、3人とも母親から信心を受け継いでおられました。小さい時から母親に連れられて教会に参拝し、参拝の作法やお祭の関わり方、お取次の実際などを、自然に身に付けていかれたのかなと思われます。母親のほうが伝えやすいのかなとも思うのですが、この次の機会にはぜひ、父親から信心継承した方の話をお聞かせ頂きたいなあと思いました。大勢の方にご参加頂き、狭いところで不行き届きがあったかもしれません、お詫び申し上げます。参加者は8教会から44名でした。
(報告・大塚東子)
2022年06月23日