講話と夕食の報告 防災出前講座「地震から身を守る」
今年も12月第1土曜日の7日、講話と夕食の会が開かれた。横浜港が一望に見渡せる、神奈川近代文学館の会議室をお借りし、ひかりプロジェクトから講師お二人をお迎えして、「地震から身を守る」と題しての勉強会であった。
定刻11時50分、山口信徒部長のご祈念に続いて、ご挨拶、講師の紹介があった。「入田 央さんは3年前にもオンラインで、集中豪雨のお話をして頂いた方、画面を通じて記憶に残しておられると思う。今日は橋本敏廣さんとお二人、近い将来予想される大地震からどう身を守るか、しっかり学んで、備えて頂きたい」。
入田さんから、
「私たちが出前講座と称して、防災のお話を始めて3年目、今回は10回目の講座になる。少しでもお役に立てるよう、わかりやすくお話しさせて頂きたい」という前置きで、まずは地震がなぜ起きるか、その仕組みから。筆者には半分くらいしか理解出来ていないと思うので、この部分については、割愛させて頂きます。
印象に残ったことを書かせて頂くと、30年以内に大規模地震が起きる確率は70%、とよく耳にし目にするが、2024年はすでにその最初の年に当っているということ。日本列島は地震の巣のような場所にあり、南海トラフ、中部圏・近畿圏直下型、日本海溝・千島海溝周辺地震、首都圏直下型、と様々な地震が予想されていること。世界の地震の1割は日本で起きていること。特に直下型地震については、予知は全く期待できないことなどなど。今までも決して油断していたわけではないが、地震に対する心構えと防災実践の必要性を強く感じた。おぼろげながら、マグニチュードと震度の違いも理解させて頂いた。
さて、後半は、「減災」について。一言で防災と言うけれど、大地震に襲われて、災害を完全に防ぐのはまず無理なこと。ただ出来るだけ災害を小さくしたい、つまり減災を心掛けたい、ということであった。
考えられることは4つだと言う。①備蓄品を準備すること。②家具を固定すること。③避難先への経路を確認すること。④ハザードマップを今一度見直すこと。備蓄品については自治体やテレビ・新聞などで、情報を得ていると思うので、個々の品物名などについては触れられなかったが、考え方として、備えに特効薬はないということ。
小さなことをコツコツと、我が家に必要なもの、自分自身に必要なものを準備していくこと、さらに時々点検して見直すことが大切。備蓄は最低3日間、出来れば7日間を目安とすること。例えば水なら一人1日3リットル必要、という。さらに食料品については、ローリングストック方式を採用すること。簡単なことで、お米を買う時、すっかりなくなって買うのではなく、7日間分くらい残して買う、そうすれば、7日分をストックしていることになる。これを缶詰などにも応用して考えればよい、高価な、3年5年も保管できるご飯やパンを購入する必要はないという。使った分は補充することを忘れないように。
避難経路について、一度実際に歩いてみることが大事で、例えば高いブロック塀があるような経路は避けたほうがよい、夜にも歩いてみると、暗い中で危険な道や場所を知ることが出来る。つまり地図上や頭の中で確認するだけでなく、実際に体を使って体験しておくことが、いざと言う時に役立つということであった。ハザードマップについても、時々見直すことが大切で、今までなかった情報が付け加えられていることもある。
さらに大切なことは、自助共助の考え方を持つこと。まず自分のことは自分で何とかする。その次に地域の方々を助け、お役に立つことをさせて頂く。実際、阪神淡路大震災で、倒壊した家の、下敷きになった方を助けたのは、地域の住民が72%、自衛隊が14%、消防機関が14%という。公的機関が助けに来て下さるのを待っていては、間に合わないということなのである。
そのためには、地域のコミュニケーション能力を高める必要がある。「あの家の高齢者は、いつもあの部屋で寝ているから、この辺りで下敷きになってるかもしれない」ということを知っている人は、助けることが可能なのだ。自衛隊や公的機関の助け(公助)が来るには時間がかかる、自助、共助、公助の連携が大切だが、その間に近助(近所)という考え方を入れておきたい、と話された。都会でよく言われる「隣に住む人の顔も知らない」という関係は、減災という願いからは程遠い。
建物の安全性を考える時、新耐震基準で建てられたものは、比較的強度が高いというが、建物が倒壊すると、命や火災の危険があるばかりでなく、避難生活が長期化してしまう。それは耐えがたいことなので、1981年以前に建てられた建物は、公的補助を受けて、耐震診断を受けたり、補強することを考えてほしい。家具を固定するほか、寝室、廊下に物を置かない、寝室には懐中電灯やスリッパ(運動靴)を置く、などが必要。
さらに、停電対策が必要だということ。地震が起きると、自動的に停電して、その時は火災にならなかった。が、復旧して通電した時、電気ストーブ、ドライヤーなど発火しやすいものに洗濯物などが落ちて、火災になるということが多いらしい。備えのためのブレーカー遮断の方策の説明があった。簡易的なもの、工事が必要なもの、があるという。
簡易トイレの作り方について、実際に植木鉢を使っての説明があった。植木鉢(またはバケツ)にごみ袋をセットし、さらにレジ袋を重ねる、段ボールで便座を作って置く、匂い消しのために、脱臭力のある猫の砂をかけるという。講師の先生が作ったものに、実際座って見せて下さり、かなり使い勝手のよさそうな簡易トイレが、簡単に作れることに感心し、これはお役立ち情報だと思った。
休憩の後、グループワークという、意見交換を行った。地震が発生した時、あなたならどうする?というテーマで話し合い、結果を発表し、アドバイスを受けた。さらに災害用伝言サービスの便利さと使い方について、説明して頂いた。参加者全員で記念写真を撮って、3時45分終了した。
かなり駆け足の研修だったが、非常に有益だったと思う。まず、地震(災害)に対しての心構えを持つことが大事だと悟った。人生何事もそうなのだろうが、減災にもまず覚悟が必要で、さらにたゆまぬ努力が要ると知った。
立派な資料本を頂いて、これを参考に一層充実した対策を考え実践してゆきたい。講師の先生、資料を作られた方に感謝致します。参加者は9教会から14名。(報告・大塚東子)