2025年女性のつどい報告(平塚教会)

「令和7年度 女性のつどい」

 講題 「日々の生活(くらし)で見つけた信心~自分を育むために~」
 講師 宇佐美陽子氏(平塚教会)

 

講演の内容
 * 教会で育つということ
 * 子育て、仕事を通して育てられた自分
 * 日々の生活に活かせる発声、呼吸法、声の使い方
 * みんなで実践してみよう!
  7月13日(日) 13:20~16:00 歴史的な街並みの残る金光教平塚教会で開催。

 


毎回、再会を楽しみに参加される方に加え、「陽子ちゃんの話が聞きたい」という平塚教会の信者さん15名を含め、遠くは甲府教会からも参加いただき39名が集いました。

案内ポスターにも表現されていた「元気の出る話に期待に胸膨らませて。
講師は宇佐美陽子さん。平塚教会、奥川先生ご夫妻のご長女です。



大学卒業後、アナウンサーを目指すも、声のみで勝負するDJ(ディスクジョッキー)に舵を取り、研鑽に研鑽を重ねてご自分を育まれました。


現在はそれも生かして企業の人材育成、新人研修など「人育て」のお仕事で、忙しい毎日を過ごされています。この日も前後がお仕事という超過密なスケジュールの中をお願いいたしました。

にもかかわらず、暑い中、聞きに来て下さる方のことを案じて優しいお気遣いをされ「元気の出る時間」を作れますよう精進します!と宣言して下さいました。


 まず一つ目のテーマ「教会で育つということ」から。

「目を閉じて下さい、一日の始まりをイメージして下さい。朝、目覚めた時、最初に耳に入ってくる音はどんな音ですか?」という質問から始まりました。

「時計のアラーム音?」「ごはんの支度の音?」「鳥の声?」「車のエンジン音?」・・・「小さい頃は、母がかまどでお粥を炊いていた音で目が覚め、さあ、今日一日何して遊ぼう‼ということで一日がスタートしました」という方がいらっしゃいました。

宇佐美さんの場合は、祖父母、ご両親の朝のご祈念の声で目が覚めていたとのこと。でもそれは一人暮らしを始めたとき、初めて気付いたそうです。「人の声がないなあ」「人の声で目が覚めていたんだなあ」と。当たり前すぎて気がつかなかったけれど、これが教会で育つということなんだ、と思われたそうです。

毎朝、それと夕方にはご信者さんも含めて、23年間365日人を思い祈る声、人の幸せを祈る暖かい声で元気を頂いていたんだなと。ご両親や各教会の先生方もこうやって人の立ち行きや幸せな人生を祈られて、改めて尊敬の念を抱きますと。

また、平塚の信者さんは人格的にも素晴らしく、暖かいやさしい方ばかりで、子供の頃から可愛がって頂き、心配していただいたりした、小さい時からの大切な声のお陰で、その思いのこもったご祈念の声が「仕事のベースになっている」と自覚できたそうです。今は企業でのお仕事の際、初めて会う方々に対して、「元気で活躍出来ますように」、と自然に、心から思えるようになったとおっしゃっています。


 次にもう一つのテーマ「子育て、仕事を通して育てられた自分」

宇佐美さんは終始明るい、ハッキリした声でお話しくださいました。さすがお仕事で慣れていらっしゃるなあと思いきや、めちゃめちゃ緊張しているとのこと。でもそんなには見られない。緊張を声や表情に出さない、それは訓練の賜物だそうです。今は原稿を作らないが、DJのお仕事の時はさんざん作られたそう。起承転結のバランス、ボリュウームなどを考えて。
 


平塚にあるFM湘南でDJの仕事を始めた頃、世界的アコーディオン奏者のcobaさんにインタビューする機会があり、cobaさんを目の前にした時、あまりのオーラの凄さに目の前が真っ白に‼その経験から、気負ってはいけない、自分を見失わないよう、自分らしくいられるように努められました。またラジオはテレビと違って映像が無い分、声と言葉が大切。毎回、自分の番組の声を録音しては聞き直し、声の持つ力をさんざん研究なさいました。

日本人は自分の声を好きでない人が8割だそうです。また7色の声を持つと言われるフランス人から見て、日本人は一つの声でしか話さない、と不思議がられるそう。声で性格が分かり体調が分かるくらい、声が人の心に与える影響が大きいと痛感され、日々努力を重ねられました。

こうしてDJとして仙台放送局で5年、大阪の放送局で半年、そこで結婚、出産を機に仕事は一時休止。その後、離婚という危機にも見舞われ、平塚に戻られました。お話の中には有りませんでしたが、その間、乳飲み子を抱えて、東日本大震災にも遭遇されています。

平塚に戻られてからは教会長ご夫妻、ご信者さんの暖かいお言葉で、どんなにか救われ、助かられたか大いに想像できます。お子様も小2(姉)と年長(弟)になっておられ、それからが仕事と子育てにシングルマザーとして大奮闘‼

ところが下の弟君が小2の時、それにつられるようにお姉ちゃんが小5の時に不登校となられます。
きっかけはキーウィの食物アレルギーで、食べることに抵抗を感じていた息子さんがある日のクラス目標「今日は給食を残さず食べよう」で最後の一口がどうしても食べられず


「僕はクラスの役に立てなかった」という気持ちから。その年の冬休みからそのまま7年間、学校に行かれませんでした。「学校に行くのが怖い」「行っても役に立たない」と。宇佐美さんは、最初は学校に無理やりに、担いでいくこともありましたが、逃げ回り、教会に逃げてくることも。また子どもながらに行けない苦しさがあり「行きたくない‼」と家の隅っこで泣いているのを見て、無理に連れて行ってはいけないな、と思い直し、教会のお祭り日には参拝してご祈念をし、ご両親と相談しながら、またご信者さんも一緒になって心配して下さいました。

児童精神科医の心理的カウンセリング(8ヶ月待った)を受けたり、発達心理外来、行政の相談にも一人で行かれました。息子さんは「そんなものには絶対行かない」と、一歩も外には出られなかったそうです。

宇佐美さんは「自分に出来る事は唯一、子どもの話を聞くこと、何があっても続けよう」と決心されました。こだわりの強い弟君が、自分の納得できる答えが返るまで、寝かせてくれず、夜中の1時にやっと寝ると、今度はお姉ちゃんが2時に「話を聞いて」と。4時にやっと寝て、それから学校に行かない子どもたちのためにご飯を作り会社に行くという生活。またリモートワークで会議中に、話を聞いてもらいたくてパソコンのコードを抜いたり、破壊されそうになりパソコン持って平塚教会に避難したり大変な思いをされたようです。

一番大変だったのは、食事に対する恐怖からご飯をシンクに放り込んだり、絨毯の上に投げつけたり、大切な洋服をビリビリ引きちぎられたり、またある時は水を部屋中に撒かれたり、お姉ちゃんにかけたり。それまでは「一切無視して下さい」という精神科医の先生の言われるとおりにされていました。「アスペルガー症候群」と言ってこだわりが強い、頑固、納得いくまで動かない、不安になると自分でも覚えていないような行動に出る、などの特徴があるそうですが、自分でやりたいことが見つかると、動けるようになるといわれたそうです。

「一切無視」から一歩進んで、「あなたが起こした行動で、私は傷つきましたよ」という事を分かってもらいたい、自覚してもらいたいと思われました。日本人は自分の気持ちを伝えるのが苦手だそうで、企業研修でも、自分の気持ちを言語化することの大切さを伝えていらっしゃいます。こちらが遠慮して何も言わないと相手はできるものと思い、依頼をしてくる、こちらは無理をしてやり、体を壊し、退職に追い込まれることも。相互理解に努めましょうと。

お子さんたちにも、ゆくゆくは社会に出て、人と出会い、また結婚して家庭を築く時、自分がしてほしくない事、相手がしてほしくないことを確かめ合いましょう、と伝えられてるそうです。今ではユーモアを含んだ会話さえも出来るようになったと喜んでいらっしゃいます。娘さんはバイトをしながら通信制の福祉系高校に通い、それぞれ人間関係が出来て成長が見られ、息子さんはユーチューブに救われ、世界が広がり、これからは自分で道を開いて行かねばと、今は一週間に一度のペースで中学校に行かれるようになったそうです。

また宇佐美さんは同じように学校に行かない子供たちのために平塚の市民活動「ママネット」を立ち上げ、親子を支援するこども食堂や、親子活動の学びの場を提供していらっしゃいます。


 ここで講題「日々の生活(くらし)で見つけた信心~自分を育むために~にたどり着きました。宇佐美さんのお話です。

両親や神様のお陰で自分が自分を育てることができました。自分の中で感謝できる人がいる。自分が自分を育てるために、神様が用意して下さったもの、と神様を感じざるを得ません。神様と共に生きる、つまり神様を感じながら生活をする、日々の暮らしそのものが信心の実践の場です。

皆さんも「元気が欲しい」という気持ちで、暑い中こうして心と体とエネルギーを持って教会に来て下さった、正に実践して下さいました。「こどもが学校に行かなくなりました」その苦しみに神様のお働きかけがあり、いつしか喜びになりました。

 


私が高校生の時、ある教会の先生の教話で「信心とは喜ぶ心を持つことです」と聞き、「金光教は何ていい宗教なんだろう」と思い、「和賀心」という言葉が大好きになりました。

また、父がお墓を「奥川家」から「和賀心」とし、いつでも、どなたでも入れるようにとしましたが、このように「一人じゃないないよ、どなたでも受け入れますよ」という広い心に満ちた日々の中で育ち、私の中にも伝わり、根付いていたんだなと感じます。

それが子ども達とかかわる中で伝わり、仕事をさせて頂く上にも信心に繋がっていると改めて感じることができました。


 次は実践編です。


○ おしゃべりをする
 自分の事を話すと、自分の新たな発見、驚き、喜びに繋がる。
 孤独を感じるのは、自分の声を聞いていないから。だから言葉のやり取りが大切。
 自分の声はしっかり脳に響く。

○ ハミングで元気な声の元を
 (この時は「ドレミの歌」で)
 ハミングは声帯に負担をかけない。その時、足の裏を地面にピッタリくっつける。

○ お口の体操でアンチエイジング
 ウ、キ、ウ、キと1分間継続。

○首を回す
 1秒ずつ止まり、ゆっくりと回す。
○ 深呼吸
 まず吐くから始めると、たくさん空気が入る。
 脳に酸素が行きわたる。
 ため息は大事。ストレス解消。

○ 4つの声色を使い分けてみよう
(「今日も一日、有難うございました」を)
① 悦の声で 嬉しそう、高めの声 (語尾に♡マーク)
② 勇の声で ハッキリ、元気はつらつ (語尾に‼)
③ 慕の声で ゆっくり、落ち着いた (語尾に ...)
④ 厳の声で 低い、少し怖い印象 (語尾に○)

 


 最後に「まとめ」として、「道」という詩を皆さんで読み上げました。

 長時間にわたり、宇佐美さんの講話を頂くことができ、今年の「女性のつどい」も感動の内に終えることができました。( 記録・山田初子)

 


 



 


2025年07月01日